太田 敏彦
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久しぶりのトレーニングや慣れない運動をしたときに起こる筋肉痛。
誰もが一度は、経験したことがあるのではないでしょうか。
筋肉痛については、ほとんど全ての人が知っていると思います。
しかし、正しいことを知っているかというと、筋肉痛はまだはっきりと解明されていないことも多いため、人によって信じていることがバラバラだったりします。
例えば、『筋肉痛があれば、いいトレーニングができた』と考えてしまうこともその一つです。
これを逆にとって、『筋肉痛がないと、いいトレーニングじゃない』と考えてしまう人が一定数いるのも事実。
人によって解釈が違うこと自体は、悪いことではないんですが、その解釈によって、トレーニングが間違った方向に進んでしまうのは良くないことです。
そこで、ここでは筋肉痛についてよくある疑問の中でも、特にトレーニングに大きな影響がある2つの疑問について解説していきます。
正しくトレーニングと向き合って、効果を出していく上で、少しでも参考になれば嬉しいです。
下の動画でも詳しく解説したので、合わせてご覧ください!
これだけは知っておきたい筋肉痛の基本情報|そもそも筋肉痛って何?
筋肉痛とは、筋肉や身体の組織に慣れない刺激が入ることで、それらにダメージが残ることで、痛みを引き起こしているもの、と言われています。
筋肉痛は、はっきりと解明されていないので、上の見解がいま時点では一番スタンダードでしょう。
この辺りは、なんとなくお分かりいただけると思います。
ちなみに、『慣れない刺激』というのは、例えば、普段身体にかけているより強い負荷をかけることだったり、不慣れな運動をしたりすることで、身体が受ける刺激です。
あまり運動していない人であれば、久しぶりに筋トレや運動をすることで、筋肉痛になる経験は、誰もが一度はしているのではないでしょうか。
また、普段トレーニングなどをしている人でも、新しいトレーニングメニューを試した時や強度をあげた時などは、筋肉痛が起きやすかったりしますよね。
このように筋肉痛は、受けたことのない(慣れていない)刺激を身体が受けることで、筋肉がダメージを受けて、起こることが多いようですね。
筋肉痛が残っているときに筋トレをしても大丈夫?
さて、ここからは、筋肉痛のよくある疑問について、お答えしていきます。
まず一つ目に、「筋肉痛が残っているときに筋トレをしてもいいの?」という疑問は、トレーニングをする人であれば、気になる人も多いのではないでしょうか。
実際、パーソナルトレーナーとして活動する中で、この質問はよくいただきます。
結論からいうと、これは問題ありません。
別に筋肉痛がある状態でトレーニングをしてしまうと、トレーニング効果がでなくなるということはありませんので、安心してください。
但し、これには2つ注意点があります。
もし筋肉痛がある状態で、トレーニングをする場合は、以下の2点には気をつけて下さい。
- 筋肉痛の状態がひどいほど、パワー発揮が落ちる
- 筋肉痛の状態がひどいほど、可動域が落ちる
この2点です。
言われてみれば、納得できるものばかりですが、一応、少しだけ説明を加えておきますね。
1つめのポイントについては、実際に行われた研究で、筋肉痛がひどいとき、筋力発揮が最大で20パーセントまで落ちたというデータも出ていたりします。
※Resistance training-induced changes in integrated myofibrillar protein synthesis are related to hypertrophy only after attenuation of muscle damage.
実際、私も現役時代でウエイトリフティングをやっていて、筋力発揮をウエイトの重量を通して、ずっと確かめ続けてきましたが、筋肉痛のときは、確かに数字は落ちます。
個人的には、弱いというより、力発揮が鈍くなるようなイメージでした。
ですから、もし筋肉痛が残っていて、トレーニングメニューに迷っているのであれば、普段のトレーニング重量を基準にしないようにすることは大切です。
また、それだけではなく、2つめのポイントに書いた通り、筋肉痛がある状態でトレーニングをすると、可動域やフォームにも影響することは多いです。
特にスクワットやデッドリフトのような関節を多く使い、大きく動かすトレーニングメニューほどその影響を受けます。
知らず知らずのうちに、いつもと違ったフォームでトレーニングしていた、ということにもなりかねないので、筋肉痛のときのトレーニングは、特に気をつけてくださいね。
筋肉痛がないとトレーニングの効果がない?
こちらの筋肉痛の質問も、トレーニングをしている人にとっては、気になるところではないでしょうか。
筋肉痛がないとトレーニングの効果が少ないのでは、と不安を感じる人も少なくないはずです。この質問の答えとしては、「筋肉痛がなくてもトレーニングの効果はある」ということです。
これも、上でご紹介した研究にも出ていますが、筋肉痛がなかった人でも、ちゃんと筋肉の発達はみられています。
よくよく考えれば、筋肉が最も発達したボディビルダーの、みんながみんな、毎日筋肉痛を乗り越えて、あのようなステージに立っているかを考えると、それはあり得ません。
筋肉痛があってもなくても、筋肉は発達しますし、トレーニングの効果はちゃんと出るので安心してください。
いや、むしろ、筋肉痛の有無でトレーニング効果やトレーニングメニューを判断してはいけないといった方がいいかもしれませんね。
なぜなら筋肉痛がないことで不安になって、必要以上にトレーニングのメニュー数を増やしたり、強度を高めてしまう人もいるかもしれないからです。
もし昨日のトレーニングけっこう頑張ったのに、”あれっ、今日筋肉痛にならなかった”ということに気付いたら、効いてないのかなって、あなたも少し思ったりしませんか?
トレーニングのプログラムは、あくまで今の自分の身体の状態や体力レベルにもとづいて作るべきであって、筋肉痛があるかどうかで、決めてはいけません。
もし筋肉痛の有無をもとに、トレーニングプログラムを作ってしまうと、それは体力レベルにあったプログラムでなくなってしまう可能性が高まります。
必要以上に、回数を多くしてフォームを崩したり、前トレーニングをした重さでは筋肉痛がなかったからといって、ウエイトを重くして、効果が出るどころか怪我をしたりすることだってあります。
意外とこういったトラップに陥っている人は少なくないので、ぜひ気をつけてくださいね。
筋肉痛のよくある疑問についての回答まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は、筋肉痛についての疑問の中でも、特にトレーニングを進めていく上で大きく影響しそうなものに回答してきました。
ここでは研究で明らかになっていることをもとに解説をしていますが、僕自身のトレーニング経験や10年以上トレーナーとして活動している中での経験を重ねても、だいたい当てはまると思います。
今回、説明した通り、筋肉痛の有無でトレーニングの出来を判断することに、あまり意味がありません。
筋肉痛については、トレーニングの翌日に筋肉痛があったから、効いていると考えるのではなく、昨日のトレーニングで狙ったところにちゃんと負荷が届いたんだなという、確認程度のスタンスが個人的にはおすすめです。
トレーニングの目的とした筋肉に筋肉痛がきていれば、狙った部位に疲れが出ているという点では間違ってはいません。
それくらいのスタンスで向き合っていれば、トレーニングに悪い影響をもたらすということはないでしょう。
ご参考までに。